DRING ELEVATOR (昇降式乾燥炉)に関する技術(特許申請中)
概要
横流れが主流の乾燥炉の動作を昇降式で実現しました。
2021/02/02 追記
他社製の縦型加熱処理装置に於いてはチェーンによる
昇降搬送がメインですが、弊社の昇降機構は極力摩擦する部分を減らし
炉内に発生する粉塵を防いでいます。
また、多くの縦型加熱炉がアップフローかダウンフローなのに対し
炉内部に均等に熱を行き渡らせる為のサイドフローを採用しています。
縦型の場合 ⇒ アップフロー、ダウンフローは縦方向に対して
温度ムラが生まれやすく狙った温度条件が出すのが困難です。
熱源が ↑ か ↓ かのどちらか一方になり、その位置から直接的に熱風を送る事になり
熱源の近くは昇温過多の傾向になり易く、遠い位置の熱が上がりにくい傾向になります。
サイドフローは熱源からチャンバーに送風の後にサイドに配置されたダクトから横方向に送風されます。
また、熱と構造部を遮断する為にエアカーテンで空気の層を意識的に作っています。
マックステックでの作業内容と製作工程等をご理解いただくために実際にお客様からお受けした「昇降式乾燥炉」の物件を一例にしてこれに関するマックステックの持つ技術をご説明していきます。
従来のトンネル乾燥炉を設置する場合、長距離のスペースが必要になります。昇降式乾燥炉は従来の横搬送を上下の昇降搬送方式にする事により省スペース化作業性のコンパクト化に寄与します。
ワークを投入→加熱→冷却→排出まで自動で行う事が可能です。
某電気メーカー様 向け ホールドエレベーター(昇降式乾燥炉) 台数2台
装置仕様 (1タクト/60~40秒)推奨温度(min50℃~max130℃±10~5℃)
装置外寸法 長さ4000 奥行き4000 高さ2600
(製作
(仕様変更により、制温、恒湿恒温、冷却用の炉としても使用可能です)
では、実際にこの装置を作成した手順と施されている技術を具体的に羅列して行きます。
図面作成
マックステックでは営業、技術、設計を兼務しておりますので客先からの情報をダイレクト且つスピーディーに図面に反映いたします。
(営業→設計の手間と認識の差異が生まれません)
この物件は納期が恐ろしくタイトだったので、購入部品も全て通常在庫品から選定しそこから製作部品の設計をしたイレギュラーな機械装置でした。
社内でのフレーム、構造体の構築
一般的な装置のフレームはSS材(steel-structureの略)で構成されますが炉内環境を保つため、マックステックではフレームも全てSUS(ステンレス)で構築しています。
SS材は表面処理を施す必要や表面処理の熱による劣化処理面の剥がれによる炉内汚染等を考慮しますとSUS材を選択するのが常になります。
熱収縮等も考慮した上で装置の基になるフレームなので自社での設計製作を基本にしております。(寸法により外注にも依頼します)
炉体フレーム正面画像
小さい画像なのでよく確認できませんが溶接後のフレーム接続部を研磨し表面を綺麗に仕上げています。
炉の中に入るので処理してもしなくても見えない部分ですがマックステックは職人気質的にしっかり仕事を施しています。
社内での板金部品作成とフレームへの接続
板金部品も全て社内で設計 → 製作まで一貫して行っています。
万が一不備があっても、即座に修正可能。これがマックステックの強みでもあります。
表面部材にはSUS430、炉内内部には熱耐性のあるSUS304を使用しフレームと外装の間はロックウール50ミリ厚の断熱材を敷き詰めています。
この断熱処理により、装置外装表面は手で触れても問題無いレベルになります。
(断熱処理は温度条件によって異なります)
底部機構部(動作が中心の心臓部)
上部は乾燥炉ですが、底部には装置が動作するための心臓部になります。
この装置で一番苦労した部分です。納期が非常に厳しかったので各メーカーに在庫確認を行いながら作図と組み立てを行いました。
見る方が見ると理解してしまうのでこの辺りの構造は曖昧にさせていただきます。
炉体と並行作業で機構部の製作を行いました。上部炉体、機構部共に作図から3週間程度で製作しました。
ここでも設計担当の人間が直接製作しているので無駄な時間を費やす事はありません。機体配線、空圧機器類なども極力速い段階で処置するように心掛けています。
電装盤取付後 ↑ 上部炉体を組み付ける前の最終チェック。
底の機構部単体で電気を入れ動作チェック後に上部を載せます。
底部の機構ユニットに、上部の加熱炉体を組み付けた後です。
炉の内部にワークをセットする搬送用のトレ―(専用冶具)が段積みされているのが見えています。
炉内を循環搬送しているトレ―(専用冶具)です。この上側に客先のワークをマウントさせて自動投入 → 上昇 → 横移動 → 下降 → 排出されます。
ホールドエレベーター炉に関する技術
マックステック独自の多段エレベーター式乾燥炉
基本的な外形 幅3000 × 長さ4000 × 高さ2500~3000
スペース的にトンネル炉の設置が困難な場所に設置可能(条件による)
専用冶具(呼称トレー)にセットされたワークを昇降させつつ条件に応じた温度と時間で加熱します。(タクト40~60秒)
ワーク外形は300 × 300 × 5ミリ程度が基本となります。
ホールドエレベーター炉に関する技術
マックステック独自の多段エレベーター式乾燥炉
基本的な外形 幅3000 × 長さ4000 × 高さ2500~3000
スペース的にトンネル炉の設置が困難な場所に設置可能(条件による)
専用冶具(呼称トレー)にセットされたワークを昇降させつつ条件に応じた温度と時間で加熱します。(タクト40~60秒)
ワーク外形は300 × 300 × 5ミリ程度が基本となります。
炉内は高温に達するために、機構部は全て熱耐性が高い部品で構築してあります。
奥側に見えるスリットから熱風が吹きだす構造です。
SUS外装パネルを全て取り付けた完成写真です。
この装置には途中に何度も仕様変更をかけ、許された寸法も非常に厳しい物でした。
社内でも毎日喧嘩をしながら作りあげた装置でした。
本当に完成させる事が出来るのか??と、日々思いつつも社員一丸となって完成に漕ぎ着けた装置です。
多くの労苦も伴いましたが良き経験に成りました。